【リアル】製薬企業の研究職の仕事の流れ【決まった1日のスケジュールなど無いです】

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Masu
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こんにちは、製薬研究員のMasuです。

今回は製薬企業に勤める研究職のリアルな仕事の流れを共有して行きたいと思います。

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計画・実験・解析・発表の繰り返し

まず早速ですが、、製薬の研究者に決まったスケジュールはありません。スケジュールを紹介すると言っておいてなんですが、これがリアルです。決まって行うのは朝メールチェックをするくらいでしょう。

大学で研究をされている方は特に、その日のスケジュールが日によって異なるのは容易に想像がつくと思います。

ただ、数日-1週間の中でやるべき流れは決まっています。それが計画・実験・解析・発表の流れです。当たり前のようで、大学における流れとは一味異なります。

①計画

最初の計画が最も重要です(当たり前)。

まず各研究者は「○○なコンセプトの薬を作る」というテーマを持っています。

ここでいうコンセプトとは、以下のようなものです。

  • 薬のターゲットは?
  • どんな患者層を狙うか
  • どんなモダリティ(低分子・中分子・抗体・核酸など)でいくか
  • 市場に出た場合どのくらい売れるか

会社によって異なりますが、数十〜百程のテーマが同時に流れています。(余談ですが、ここのコンセプトがきちんとされていないテーマの進みは酷いものです。)

そのそれぞれで、いつまでにどんな結果を出すかが決まっています。例えば「半年後の2月までにin vivoで薬効を示す薬物を得る」といったものです。

これを達成するためには薬理担当者はin vitroの試験だけでなく、in vivoのデータも取っていく必要がありますし、合成担当者は薬効だけでなく体内における薬物の安定性を考慮した構造を取り入れる必要があります。薬物動態担当者はin vivoの血中濃度や効かせたい組織の薬物濃度を測定する必要が有るかもしれません。

いずれにせよ、チーム(テーマ)としての時間的な締切があるため、その目標を達成するためのデータを得るために、各部署は部署ごとの細かな実験計画を立てます。

そうすれば自ずと今週は何の実験をすべきか、明日までにどんな実験手順書を作成するべきか、今日は何のデータを整理すべきかなど、やることが見えてきます。

それに沿って、1ヶ月後までに何のデータを出すといった実験の計画を当事者間で立てていきます。

②実験・解析

①の計画に基づいて実験を行います。

製薬企業では効率を重視し、なるべく簡単に結果が出るような手法をとります。

例えばキットで済むものであればキットを、洗い物が大量に発生しそうであれば使い捨てのものを、機器を購入することで実験の進みが早くなるのであれば必要な分購入します。

大学ではお金に限りがある研究室が多いため苦い思いをした方も多いと思いますが、企業ではその手法が最適であると判断されれば、購入することで手間を省くことが多くあります。

また実験の記録はデータとして会社のデータベースに登録します。今ではビックデータや機械学習による利用が進んでいるため、ますます重要性が高まっています。

実験データの解析は、簡単なものはエクセルで行うこともありますし、数百万円する解析ソフトを導入し使うことも多くあります。

後に薬の申請を行うときは、データが誤っていないか一つ一つ確認する操作が出てきますので、解析に使用したファイルは大事に取っておく必要があります。

③発表

発表は、大きいものであれば実験結果を貯めてから発表することが多いですが、チーム内や上司には、かなり頻繁に情報共有がなされます。

実験データをまとめ、複数の薬物候補のデータを比較し、多角的な面から考察します。例えば「この薬物はいい薬効を持っているが代謝安定性が課題だからそこを改善しよう」などです。

こういった内容をパワーポイントなどで分かりやすく伝わるような資料にし、共有します。資料にかける時間(クオリティ)は必要に応じて変えます。経営会議にかけるレベルであれば1週間以上作成に時間をかけます。

またテーマの初期は困難ですが、ある程度進むと薬効を保つにはどのような特徴が必要か、代謝安定性を上げるにはこの特徴を改善すべきだという事が分かってきます。※ここでは薬効と安定性のみを上げましたが、その他にオフターゲット作用や溶解度や膜透過性、タンパク質結合率などあらゆるパラメータが存在します。

それをもとに今後の指針を示し、チームや上司と共有します。結果を見て新たに欲しいデータがあるようであれば、実験を追加します。

自己研究も行う

以上が必須の業務となりますが、製薬企業に勤める研究職は研究者の一面もありますので、自身で定めた研究も行います。

自己研究については厳密な期限が定められることは少ないですが、どのようなスケジュールで進めていくか大まかな流れを上司と相談し、進めて行きます。

必要であれば機器や試薬の購入を行いますが、高額であればあるほどこの研究がいかに会社にとって有益か上司に説得する必要があります。

1日のスケジュール例

ここまでで仕事の流れを理解していただけたと思います。ここで改めてある日の1日のスケジュールを書いてみます。

ある日①

  • 朝:メールチェック、実験の打ち合わせ、実験
  • 昼:社員食堂で昼ごはん
  • 午後:ミーティング、実験結果まとめ、明日の実験計画、他部署へのメール

ある日②

  • 朝:メールチェック、ミーティング、実験結果の報告・共有
  • 昼:社員食堂で昼ごはん、勉強会
  • 午後:業者との打ち合わせ、実験データの解析、来週の実験計画

このように、毎日のスケジュールは日々変わっていきます。

ぜひ、参考にしてください。

 

 

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